思念

Concept

秘すれば花

人を、愛(かな)しいと思ったことがある。
その姿は典雅で、きりょうが美しく、
奥の間の障子には西陽が映えていた。
石垣が濡れはじめると、彼女は去った。
雨になった。
白肌は、秘すれば秘すほどに、
みずみずしく潤(しお)れたり
まことの余情は痛ましいほど美しい。
肌は、いちばん外側の内面。 金沢では、美人より佳人が想われる。
巌に花が濡れ落ちたという。